流「zzz……」
暮「……それで夜に牧から電話きた時、聞いてみたんだ。そしたら、日焼けオイルと間違えて持ってったってさ」
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神「牧さんは相変わらずですね。益々いい色になってそう」
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暮「はは、流川も期待してるだろうし、帰りが楽しみだ」
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神「ええ、そろそろですね」
――そこに一人目帰還
洋「ただいま」
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神「あれ? 牧さんと花形さんは?」
洋「今裏で取り込み中」
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暮「取り込み中……?」
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神「やっぱり、なんかあったの?」
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暮「嫌な予感はしてたんだが、花形落ち込んでるか?」
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洋「まあ……ね。でもすぐ戻ってくっから」
――二人目帰還
牧「ただいま」
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暮「お、牧また焼けたな」
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神「まさに照り焼きですね」
洋「ったく、オリーブ臭ぇっつってんのに気にしねーで塗り始めるから、俺もビックリしたわ」
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暮「え……っ? まさか牧、体に塗ったのか? オリーブオイル……」
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牧「サンオイルと間違えて持ってったんだ。仕方ないだろう」
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神「そもそも間違えるものかな……」
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牧「油は油だ。何も変わらん」
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洋「何も売店で買ってくりゃいいのに、聞かねーんだもんな」
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暮「はは、世話かけたな水戸くん」
洋「俺は別に、何したわけじゃないんだけど……ああ、で、花形さんは?」
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牧「あいつはだな…………」
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流「zzz……」
牧「今流川が寝てるから話すが、暫く流川と顔を合わせたくないそうだ」
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洋「やっぱりそうなっちまったか」
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暮「やっぱりって……俺花形の所行ってくる」
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神「俺も」
――木暮と神退室
洋「俺がちっとは気ぃ利かせりゃよかったんだが、つってもなぁ……」
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牧「結果としては流川が望む形になってしまったな」
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洋「だな」
――木暮と神帰還
暮「…………」
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牧「まだ落ち込んでたか?」
神「壁際で沈んでましたよ。いったい、どうやったらあんな立派なメガネ焼け……」
暮「まず、一から聞いていいか?」
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洋「勿論。最初は仲良く三人で浜辺行って、着いたのは昼頃だったか。混んでる中でどうにかビニールシート敷いて、ちゃんとパラソル立てて、牧さんはオリーブオイル塗って、準備は万端だったんだ」
牧「そこで俺の過ちの一つが、俺がそのまま波乗り行って夕方まで戻らなかったことだ」
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暮「一人でずっと楽しんでたのか?」
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牧「まあ最初は……。それでも一度は戻ろうとしたが、その……混み過ぎて何処だかわからなくなった」
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神「迷ったんですね……」
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暮「迷子か……」
洋「まあ牧さんは最初からそう言ってたわけだし、原因はまた別だ。一つはパラソルの立て方だな。まさか倒れるとは……」
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神「倒れたって、何も立て直せばいいじゃん」
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洋「んまぁ」
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暮「壊れちゃったのか?」
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洋「いや……白状すっと、帰りは四時で決めた後、俺ちっと用足しあって」
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神「用足しって……」
洋「事前に近場確認しといてよかった。イベントもあったし、まあまあの勝ちでしたよ」
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神「パチンコね……」
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暮「なるほどな。それで日時予定は全部水戸くんが決めたのか」
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洋「さすがに花形さんと二人きりで数時間過ごす自信なかったんで」
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牧「見事な打算だ」
洋「俺も一応気にして、花形さんが一人でも飽きねーように、色々置いてってやったんだが……」
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神「何持ってったの?」
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洋「そりゃ暇潰しっつったら麻雀っしょ」
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暮「花形は出来ないだろ……」
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牧「それ以前に、麻雀は一人でしないだろ……」
神「何れにしろ、別にパラソル倒れただけなら花形さんが直すことも出来たのに、なんでしなかったんですかね?」
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洋「そこは……いや、それこそが今度の全ての根源かもしれない」
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暮「え? どういうこと?」
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洋「実は花形さん、俺がパチンコ行ってからずっと寝てたらしいんだ」
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神「昼寝……かな?」
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洋「いや、昨日はよく寝たっつってたし、読みたかった本数冊持ってきたくらいだ。気が向けば海で泳ぐとも言って、コンタクトレンズまで持ってきてた。それに、あの暑さと賑わいの中じゃ寝る気も眠気もなかったっしょ」
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暮「じゃあなんで……?」
牧「まさか…………!」
洋「そ。流川だ」
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神「え? 流川が何なの?」
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洋「先日、解散間際に流川が花形さんに渡したっしょ。御守りだっつって」
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神「ああ。あれ、何だったの?」
洋「たぶん、睡眠薬」
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暮「な、なんで?」
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牧「花形はそれをハイ○オールCだと言って飲んだ」
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暮「ハイ○オールCって確か……シミを消す薬だっけ?」
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神「なんでまた……」
洋「流川もたぶん、そこまで日焼けしてほしいわけじゃなかったんかな?知らねーけど。でも花形さんがそれを飲んだ後、やけにうつらうつらしてた」
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神「意味がわからないよ。なんで日焼けしてほしくなくて睡眠薬なわけ?」
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洋「そこは俺もさっぱりだ。流川に直接訊くしかねーな」
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暮「そっか。じゃあ流……」
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牧「待て。花形は今の姿を流川に見られたくないんだ」
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神「あれじゃ白縁メガネですからね……と言っても、見られないでいられるのも時間の問題でしょう」
暮「せめて日焼けが退くまでは、流川と対面しないように、なんとかできないかな?」
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洋「なんとかっつってもなぁ」
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神「普段は眼鏡で隠れるけど、寝る時ですね」
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暮「だな。眼鏡かけたまま寝るわけにはいかないし」
牧「だったらアイマスクでいいだろ」
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暮「そうだな。言ってこよう」
――木暮退室。
――帰還。
牧「どうだった?」
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暮「却って不自然だって」
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神「まあ……それに、風呂入る時もうっかり見られる可能性ありますし」
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洋「何も開き直っちまえばいーのに」
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暮「余程ショックだったんだろうな」
洋「眼鏡外した顔見た時、ちっと噴き出しちまったからな」
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神「もう洋平の所為じゃん」
牧「スマン、俺も笑った」
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暮「牧お前……」
牧「いや、これは全体責任だ。そもそも花形に海行きを勧めた時点で間違いだったんだ」
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暮「そこは俺も反省だな」
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洋「まあ発端は流川だけど」
神「とりあえず、流川が寝てる間に解決策を見つけなきゃ」
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暮「解決策か……」
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洋「あ、メガネ焼けのとこだけ黒で塗っちまうとか」
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神「花形さん怒るよ……」
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洋「ダメか」
牧「単純に、顔を合わせないだけでいいなら、花形がどこかに泊まればいいだけじゃないか?」
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暮「それじゃ花形に負担がかかるよ。今度の被害者は花形なわけだし」
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洋「じゃあ流川がどっか泊まる」
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神「流川が発端って意味では妥当だけど、流川が納得してくれるかな?」
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牧「そもそも一人じゃ起きれないんだろ?」
暮「まあでも、それがいいかもしれない」
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牧「どれだ?」
暮「贖罪として、うちに暫く流川を泊める。その間、水戸くんらは花形のフォローと日焼けのケア」
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牧「本気か……?」
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神「ま、妥当かもしれませんね」
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洋「全員罰ゲームってやつか。至って公平だ」
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暮「きっと一週間はかかるだろうから、そのつもりで」
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牧「決まったなら仕方ないな。じゃあ流川を起こすか」
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神「俺も本物のハイ○オールC買ってこないと」
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洋「ったく、端っから海なんて行かなきゃよかったんだ……」
続く?