その21【夏の計画】

暮「えらい久しぶりだな」
洋「確か……節分以来か」
神「といっても、なんの新鮮味もないわけだけど」
洋「やることも一通りやったしな」
形「牧の肌色も変わらないしな」
牧「変わってほしいのか?」
流(コクッ)
牧「…………」
神「でもホワイトデーで白い牧さん見たし、というより、態々型まで取って作ったんだった」
暮「あったなぁ……青い瞳のマーブルチョコといいホワイトチョコといい、もうすっかり白人だったな」
神「なんだかんだで毎回牧さんが盛り上げてくれますよね」
洋「ミニスカも色白もやってのけたからな」
流「じゃあ次先輩の番」
形「なんだその順番は」
牧「それは楽しみだな」
洋「でもミニスカサンタは時季外れだし、花形さんがこれ以上色白になったとこで大して変わんねーだろ」
流「逆」
暮「逆って何が……?」
神「まさか……色黒……?」
暮「なるほど」
牧「決まりだな」
形「おい待て。俺が色黒になったところで何が面白い」
流「その経過が面白い」
形「結果は?」
流「微妙」
形「…………」
神「で、どうやって焼くの?」
洋「日サロとか?」
暮「日サロって、機械入るヤツ?」
神「花形さん全身入るかな?」
流「足だけはみ出る」
牧「靴下焼けか」
形「やめてくれ……」
洋「牧さんは何で焼いてんの?」
牧「別に焼こうとしてこうなってるわけじゃない」
暮「やっぱり海か」
神「それだけですか?」
牧「冬もボード行くから、雪焼けもあるだろう」
洋「それで年中その色なわけ?」
牧「……若干、先天的なものもある」
暮「とりあえず海に雪か」
神「アウトドアですね」
牧「お前らがインドアすぎるんだ」
形「仕方ない。牧と違って他にやることがある」
牧「…………」
流「そ、俺とヤルことで頭いっぱい」
形「な……!」
流「休日は他にすっことねーから」
形「流川…………」
暮「まあまあ。確かに偶には外出ないと体にもよくないな」
洋「一度外でヤってくりゃいいさ」
形「いや、そっちの気はない」
神「……でも、いいんじゃないですか? 今度牧さんと二人で海いってくればいいんですよ」
暮「はは、そうだな。二人でしか盛り上がれない話もあるだろう」
牧「ふ、二人だと……?」
形「俺と牧が、二人きりで海…………冗談じゃない。無理だ断る」
洋「花形さんも遂に海の男か。魅力増しますね」
形「そんな魅力いらない」
流「要る」
形「要るか?」
流「魅力が増してくその経過が要る」
形「…………」
牧「仮に花形と二人で海に行ったとしても、俺は一人で波乗りだぞ」
暮「そんなこと言わず色々教えてやれよ」
形「別に結構だ」
神「うーん……こりゃさすがに二人きりは難しそうですね」
洋「間に入るヤツがいねーと終始口も聞かねーかもな」
流「まるでガキ」
形「きっかけはそもそも流川なんだが……」
神「……そうですね、じゃあ、誰か一人同行しようか」
洋「俺パス」
流「俺も」
暮「でも流川、経過が見たいんじゃないのか?」
流「あとで聞ければいっす」
形「なんだそれ……」
神「俺もちょっと、遠慮したいかな」
暮「俺もこの夏はバイトに打ち込みたいんだ」
牧「誰もいないじゃないか…………」
洋「仕方ねー、またアミダだな。じゃ、好きなとこ選んで」




洋「さてハズレは誰かなっと…………」








洋「ゲッ!」
流「ホッ」
神「ははは、おめでとう」
暮「水戸くんも海楽しんでこいよ」
洋「おっかしいな、ずらしたはずだったんだが……」
神「不正を企んで大当たりなら世話ないよ」
牧「というより、地獄……?」
形「地獄行きが一人増えたわけだ」
洋「ハァ、ツイてねーな。ま、しゃーねーか」
流「これ、よろしく」

――流川、洋平にカメラを手渡す

洋「一枚いくら?」
流「ベストショットは千円」
洋「乗った」
形「乗らないでくれ……」
洋「あ、日時と場所は俺決めますから」
牧「なぜだ……?」
神「うーん、きっと何かしらありますね……」
形「ハァ、憂鬱だ。何が悲しくて男三人で海で日焼けしなきゃいけないんだ……」
暮「そこは一応……流川のためか?」
流「そう。俺のため」
神「経過のため……ね」
形「結果は微妙なんだろ?」
流(コクッ)
暮「いや、俺たちは結果も楽しみにしてるぞ」
神「いい色になってきてくださいね、花形さん」
牧「花形、オイルくらいなら貸してやるぞ」
洋「まあ焼くだけなら寝てりゃあいいんだから、安心しな」
形「安心……いやいやいや」
流「先輩、これ御守り」

――流川、花形に御守り手渡し

形「ああすまない。……ってこれ……………」


続く?