その17【お宅訪問-牧暮】

牧暮部屋にやってきました。 at 7/12

洋「ちわーす」
形「どうも」
暮「やあ、どうぞ入って」
神「木暮さん、誕生日おめでとうございます」
暮「はは、ありがとう」
形「そこで、四人からケーキをプレゼントしたいんだが」
牧「ケーキか」
形「しかしケーキ屋へ寄っている時間がなくてだな……」
洋「そこのスーパーで材料だけ買ってきたんで」
牧「ん……?」
暮「まさかここで?」
神「すみません、少しの間台所お借りします」
暮「ああ、別に構わないけど……」
牧「色々とおかしくないか?」
暮「それと、流川はどうしたんだ?」
形「ああ、ちょっと起こしてくる」
牧「またか」
神「じゃあ、木暮さんは居間で少し待っててください」
暮「ああ、楽しみにしてるよ」
洋「さて、始めっか」
牧「俺はどうすれば……」
神「牧さんは別に木暮さんへのプレゼントがあるんだろうし、木暮さんとゆっくりしててください」
牧「プレゼント……」
洋「まさか……」
神「ない……?」
牧「…………………」
形「ただいま」
流「ウス」
形「ところで、牧は何故こんなところに突っ立っているんだ?」
神「牧さん、俺たちを手伝ってくれるそうです」
形「そうか……じゃあまず俺は生クリームを……」
神「俺果物切るから、流川はお皿用意して」
流「わかった」
洋「俺は部屋の飾り付けだな」
形「か、飾り付け……?」
神「洋平のやつ、昨日から準備して脚立まで持ってきたんですよ」
形「水戸くんが未だによくわからない」
牧「それで、俺は……」
神「牧さんは……」
形「うーん、特にない」
牧「…………」
神「牧さんがプレゼント用意してないのが悪いんですよ」
形「そ、そうなのか?」
流「ひでぇ」
牧「…………」
神「とりあえず洋平の手伝いでも……」

十秒後

牧「いらないと言われた」
形「こんな情けない牧を見たのは初めてだ」
神「でもあとはフルーツ盛るくらいだし」
流「五千円」
牧「ん?なんだ?」
流「材料費」
形「ああ、それを牧が出せば晴れて五人からのプレゼントとなる」
神「いや、材料費はその半分だったような……」
流「買い出し代上乗せ」
形「なるほど」
神「買い出し代って、流川は家で寝てたじゃないか」
流「あと飾り付け代」
神「あれは洋平の無償によるものだよ」
牧「…………わかった。五千円だな」

一方……

暮「水戸くん、画鋲持ってようか?」
洋「お、悪いねメガネくん」

そうして二十分後

神「木暮さんお待たせしました。って、うわぁ……」
形「水戸くんは、この才能を別に生かせないのか?」
牧「極上の誕生日仕様だな」
洋「メガネくんも手伝ってくれたんだ」
暮「ここまで本格的にやるとは思ってなかったよ」
洋「あの『メガネくんおめでとう』のとこなんか上手く貼っ付けてもらった」
形「自分に対する祝いを自ら飾らせたのか」
牧「俺が手伝えることあったじゃないか……」
神「ああそれで、木暮さんこれ四人……じゃなくて五人からのプレゼントです」
暮「うわぁ、ケーキなんて久しぶりだな、ありがとう。このトッピングなんかすごく……」
形「トッピングは流川だ」
洋「またメガネチョコか」
暮「いや、すごく嬉しいよ。みんなありがとう」
神「それで、ケーキカットは誰がやる?」
形「ケーキカットって、結婚式じゃないんだから」
洋「まあ、いずれ本番やるなら今日が予行演習だ」
牧「じゃあ二人でやるのか……?」
流「俺と先輩がやる」
洋「なんで流川なんだよ」
暮「まあいいじゃないか。ぜひ頼むよ」
流「じゃ、先輩……」
形「ん……ああ、うん……」

ケーキカット 完

神「はは、なんだかおめでたいですね」
暮「いかにも結婚式って感じだな」
形「そしたら次はキャンドルサービスか?」
暮「じゃあ次は神と水戸くんでやったらどうだ?」
神「阿呆らしいけど、まあいいよ」
洋「神さん、いいの……?」
神「たかが火を灯すだけだよ」

キャンドルサービス 完

洋「そしたら次は、メガネくんが火を吹き消す番だ」
牧「そこは誕生日なんだな」
神「じゃあ、木暮さんおめでとうございます」

おめでとう~!

フーッ 完

牧「あとはもう食べるだけだろ?」
形「誓いの言葉は要らないか」
神「あと……お色直しとか?」
洋「つっても、Tシャツの柄が変わるだけじゃな」
流「誓いのキス」
神「あ!それだ」
洋「一番重要じゃねぇか」
牧「お前らいい加減にしろ」
暮「ははは………」
流「やんねぇなら俺がする」
洋「だからなんで流川なんだよ」
流「牧さんの愛は所詮そんなもん」
牧「なんだと……?」
形「関係を隠しているならまだしも、ここにいるのは二人の仲を知る者だけだ。しかしそれでも恥だというのなら、それは木暮への気持ちを十分疑えるものだろう」
洋「なるほどな」
神「一理あるね。何かやましい思いがあるとも取れる」
暮「何もそこまでは……」
牧「…………わかった」
暮「え………?」

誓いのキス 完

神「よし、じゃあ乾杯♪」

乾ぱ~い 完

牧「乾杯の音頭だったのか」
形「しかしせっかくのグラスが空だな」
洋「あ、飲み物買ってくるの忘れた」
暮「お茶ならあるぞ」

そうして各々に行き渡ったお茶

神「また濁ってる……」
暮「あれ?何時の間に……?」
形「牧、またやったのか?」
牧「……みたいだな」
洋「みたいだなって、おかしいっしょ。どうやったらお茶にプロテイン混ぜんだか」
牧「ボトルの水の方に溶いて入れるつもりだったんだが、間違ってお茶に入れた」
形「それを二回もやったのか」
神「しかも気付かないなんて……」
洋「こりゃ相当重症だな」
形「牧、いい加減に目を覚ませ」
牧「……どうやって?」
流「初夜を迎える」
暮「はは、悪いがそれはもう済んでる」


形流神洋「……………」


洋「お邪魔しやした」
神「どうもお騒がせしました」
形「失礼する」
流「右に同じく」

四人退散

暮「おい、みんなどうしたんだ?」
牧「落ち着け木暮」
暮「いやだって……」
牧「木暮は今日、また一つ大人になったんだ」
暮「は…………?」


おわり メガネくんおめでとう!