その5【Vt.】

それはそれはすごいチョコが届きました。

牧「………。」

神「一体誰が………」
洋「変態もここまで行きゃぁ病気だな」
暮「色々とリアルだしな……」
形「筋肉から髪一本一本までが寸分狂わぬ等身大だ。黒子まで見事に再現されてる……」
神「クローンチョコですね」
牧「……百歩譲って俺であることは受け入れる。が、なぜ裸なんだ……」
流「気色わりぃ……」
牧「………。」
神「牧さんの熱烈なファンがいるってことですかね」
形「いや、どう見ても嫌がらせだろう。これを贈って喜んで貰おうとは考え難い」
洋「全裸だしな」
流「モロ出し」
形「流川……」
牧「………。」
神「ていうことは、牧さんの全てを知る人って考えればある程度限定されるんじゃないですか？」
洋「ああ、このデカさを知るヤツか……」
牧「………。」
形「噂のダンプカーだな」
流「宇宙戦艦が負けた」
形「………。」
神「まさか、木暮さんじゃないですよね？」
暮「俺はこんなの作れないよ」
洋「デカさは合ってます？」
暮「デカさは……」
牧「答えるな」
暮「はは、色はまあ合ってるかな」
牧「………。」

神「じゃあ、昔の彼女とか？」
形「未練があってのアプローチか嫌がらせか……」
牧「それはない。俺はその辺きっちりする」
洋「じゃあ誰が……」
暮「本当そのまんまだもんな」
神「牧さんは心当たりないんですか？」
牧「……神、それは俺じゃなくてチョコだ」
神「はは、似てるからうっかり」
形「肌の色に限ってはもうそのままだからな」
洋「牧さんは焼くときオイル塗ってんですか？」
牧「そういうことはしないがそれはチョコだ」
洋「はは、ホント似すぎなんだコレ」
牧「いくら似ててもチョコで全裸かは判断つくだろ？」
形「牧はよく全裸でいるのか？」
牧「………。」
暮「風呂上がりはよくパンツ一枚で彷徨いてるよ。なあ牧？」
牧「……チョコが答えるまで全員待ってればいい」
流「つーかチョコ臭ぇ」
牧「……流川、それは手の甲の黒子に言って通じると思うか？」
流「通じた」
牧「………。」
形「すごいな流川。その黒子は牧の黒子に通じてるのか」
暮「はは、便利だな」
牧「なんだこの低次元なイジメは……」
神「そこは受け取り方次第ですよ。高次元な暇潰しってことにすればそう無駄な時間でもないです」
牧「イジメっ子特有の発想だな」

形「……とりあえず、このチョコをどうする？」
牧「俺はいらない」
暮「この量はとても食べられないもんな……」
洋「いや………」
神「余程飢えない限りまず口にはできないね」
形「でも、だからってここに置きっ放しもまずいんじゃないか？」
流「邪魔だし臭ぇ」
牧「………。」
神「じゃあ公平に、ジャンケンで負けた人が持ち帰るしかないですね」
暮「このまま？」
洋「このままじゃ公然猥褻罪に触れる。つっても包むもんもないから、もう壊すしかねぇか」
形「……え？　じゃあ送られてきた時からこのままってことか？」
暮「夜中にでも抱えて持って来たんじゃない？」
神「これを……複数犯かな？」
牧「こういう時こそ得意の宇宙人節は出て来ないのか？」
形「宇宙人なら本物のクローンを作るだろう」
神「え………？　じゃあ、もしかしたらこっちがクローン……？」
牧「ナニ………」
洋「スゲェな宇宙人」
形「と言うことは、本物はこのチョコだったのか」
洋「可哀想に、本物はチョコの中に閉じ込められてんだ」
流「宇宙人のイジメは高次元……」
暮「じゃあ俺がこのチョコ持ち帰るようだな」
形「一部は上手く隠して持ち帰ってくれ」
神「丁寧に溶かしてあげて下さいね」
洋「火あぶりが一番手っ取り早いか」
流「焼きチョコ」
暮「はは、みんなありがとう。なんとかやってみるよ」
牧「……冗談か本気かだけはっきりしてくれ」
形「あ、このクローンの方はどうする？」
牧「………。」
暮「俺も二人はいらないな」
神「牧さんが二人いるのは色々と……」
流「ウゼェ……」
洋「あ、じゃあ俺が持って帰ります」
神「どうするの？」
洋「いやぁ、今バイトの人手足んねぇから」
形「それはいい。きっと役立つ」

牧「……わかった。俺がこのチョコを食えばいいんだな」

おわり